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ポイント1「必ず、最初に時間をかけてしっかり学習すること」
人の記憶は時間の経過と共に、急速に減衰していきます。 忘却曲線という、横軸に時間・縦軸に記憶をとると右肩下がりに描くことのできる曲線のグラフでも良く知られています。 「人は忘れる生き物である」ともいわれることから、人の脳にとってこれは当然の仕組みです。
公認会計士試験は、この「忘れる」という至極当然の仕組みとの、激しい戦いであるといえます。
『いかにして本試験当日に、7科目の膨大な量の試験範囲を、忘れることなく脳に貯蓄した状態で臨むことができるか?』これは、公認会計士試験受験生の全員が、公認会計士を志すと決めた瞬間に、真っ向から挑むべき『命題』なのです。
しかし私としては、いったい受験生全体のうち何割の方が、この『命題』に真剣に取り組んでいるのだろうか、と甚だ疑問に思います。 公認会計士試験受験生を毎年間近でみている私の感覚からいうと、恐らく、少ないのではなかろうかと感じます。もしくは、“合格者比率とほぼ同じ割合の方”だけかもしれないなぁ、と感じます。
そこで、勉強法のポイント1は、「必ず、最初に時間をかけてしっかり学習すること」です。
冒頭に述べた忘却曲線の実験は、ランダムな言葉(意味を持たない言葉)をどれだけ覚えていられるかというものでした。しかし、ランダムな言葉ではなく、これをきちんと「意味づけ」して、アタマに整理しておけば、どうなるでしょう? かなりの長期記憶に転換することができることが証明されています。
次の図を見て下さい。
左がランダムな言葉の忘却曲線なのに対して、右はきちんと「意味づけ」された言葉の忘却曲線です。
公認会計士試験に必要なのは? 当然、右の忘却曲線です。
つまり、記憶は時間の経過と共に、急速に減衰していくものではありますが、最初に時間をかけてしっかりと学習し、しっかり理解し、記憶を整理したものにすればするほど、忘却曲線の傾きはなだらかになっていき、記憶の定着が図れるということです。その上で、仮に忘れてしまった場合であっても、忘却曲線がなだらかである以上、記憶の減衰度合いが少ないため、もう一度復習すればすぐに記憶が復活する、という最良のスパイラルをたどることができます。
全ての科目の全ての知識を、できうる限り右の忘却曲線で脳に記憶させることが、上で述べた『命題』に対する答えであり、合格という結果そのものであると考えます。
ですから、TEXTを読むとき、レジュメを読むとき、いずれの場合も「最初に自習する時」が勝負です。 ここでは、時間をじっくり使って頂いて構いません。 その代わり、(1)すみからすみまで重要なところに線を引きながら理解する(できればこの色は定義の色・この色は結論の色・この色は趣旨の色、などと線の色にも意味を持たせて線を引かれることをオススメします)、もしくは、(2)自分なりにまとめを作成しながら学習する(自分で比較表をつくってみたり、全体的な総括図をつくってみたりなどがよいでしょう)、ことを必ず実践して下さい。